「なし」とはつまり「コール」論

はじめに断っておくが、確率の事とかそれぞれの競技についての話には殆ど触れない。
ここで語りたいことはゲームに臨む上での演出論だ。

●きっかけ

きっかけはヴァイキングポーカー会の帰りがけに立川プロに話した

「ごいたはポーカーに役立ちます。」

という一言から。

●まずはごいたについて

奥能登発祥の伝統遊戯。駒は将棋そっくりだが、すべて同じ大きさ。
やることは将棋とまったく違い、2×2のペア戦で、32枚の駒(一人頭8枚)を先に出し切った方が勝ち。
詳しくはwikiでも見てくんな。

●ポーカーについて

この会話はテキサスホールデムポーカーを前提に組み立てられた。
2枚のカードと5枚のコミュニティカードの計7枚のうち、5枚でポーカーの役を作り、
チップのやりとりをするゲーム。
これも詳しくはwikiでも見てくんな。

●掘り起こした理由

ごいたにおける「なし」はポーカーにおける「コール」にあたります。
と俺が言ったことに端を発する。
こういうタイミングで放り込む一言ってわりと自分のルーツを知る重要な一言だったりする場合が多いけど、
例に漏れず極めて重要な思考を吐露した気がするので敢えて掘り起こしてみた。

●ごいたにおける「なし」はポーカーにおける「コール」

普通に考えると意味不明だし、れもんさんには否定されかけてるので
きちんと理論化しておく。

まず「なし」の扱いについて
「なし」を言うシチュエーションについてだが、

a.受け駒がない
b.受ける必要が無い

の2択だ。言葉にすればたったの2択。でもそこには確固たる断絶がある。
aについては本当に嘘偽り無く駒のしりとりに参加できないパターン。
問題はb。ごいたはペア戦だから、味方が攻めてきてくれた場合にわざわざそれを受ける、というのは

c.自分が受けてかつ攻めきれる場合
d.放置すると失点がでかくなることが想定される場合

の2択だ。
つまり「なし」と言うべきタイミングはabcdの選択肢を検討した場合となるわけだ。
ではaならすぐに「なし」と言うべきなのか。

答えはもちろん「ノー」
aのパターンで即断「なし」というのは勝つ事を諦めているとほぼ同義といって差し支えない。
なるほどたしかに即断で「なし」と言えば受け駒がない情報は味方に伝わるだろう、
しかしそれは同時に敵方にも伝わる情報であり、
その後敵方の情報は得られないまま、味方に「時間を使わせる」ことになったまま、撃沈されることになる。

あくまでaのパターンで即「なし」を宣言した場合の話である。繰り返しておく。

●「時間」の使い方

もちろんごいたは確率だけで勝てるゲームではないし、それなりにギャンブル要素が強い。
だからこそ、見えていない情報が最強であり、それは自分以外が持って、伏せている駒であり、そして「時間」だ。
先ほどのシチュエーションaで「なし」を即決した場合は悪戯に時間を浪費したことになる。
正しく思考するならば、「なし」と言う手前のタイミングで全体に対する見通しをある程度持ち、
その上で「なし」とすぐ言うのが正しい。
即決するタイミングの問題だ。
ハンドが配られた時点で検討するか、駒が出てきてから検討するか。
同じタイミングで「なし」を言うにしても天地の差が出てくる。

では見通しを立てる前提で「なし」を言うことにすると
これは「時間」という味方を引き寄せることに繋がるはずだ。
(もちろん時間だけでなく所作、その前後の戦いなど人読みの部分も加味されるけど)
ごいたは公式大会でも無い限り時間は無制限だ。
なので、即断できる状況でも「見直し」という行為は非常に強く作用する。
自省も込めて言っておくと、「見直しする」という行為はゲームのみならず全ての仕事において有効だ。
その一手間を惜しんだが為に失敗することなぞよくあることだ。
「なし」を宣言するということはこのタイミングを自由にいじれる事を意味する。
ごいたは150点を先取したチームが勝利する。この場は捨てても「なし」を言い切るタイミングを活用することで、
勝利を引き寄せるという思考は極めて重要なのではないか。

ごいたの「なし」という行為は「受けない」ということ以上に、
「ゲームに参加している、アクティブである」ということを強く印象づけることが重要なのだ。

脱線したが、「なし」を宣言するまでに即決することが
いかによろしくないか、についてはある程度伝わることを期待したい。
abcdを踏まえた上で、なお「なし」なんです、ということを自分への演出に混ぜ込むことが肝要なのだ。

●ポーカーにおける「コール」

本論はコールについて書いているのでレイズできるシチュエーションについては
コールの和集合に入っているものとして了解いただきたい。
(レイズすべきでコールはナンセンス、みたいな話は今回しない)
現状のコールに至るまでの思想を書いておくと

e.所持金の検討
f.まずハンド2枚のランクを検討
g.次にポジションを検討
h.オッズを検討

あくまでコールするパターンの場合だが、上記4つの順で検討する。
当たり前すぎるがポーカーはチップの多寡で勝負が決まる。
だからまず相談すべきは自分の財布だ、そこが抜けているならまず話にならない。
次にハンドが弱いもしくは中途半端に強い場合はコミュニティカードのせいで負ける、
カードがドミって(他に勝負に参加人とカードがかぶる)負けるみたいな想定を行う。
このタイミングで残り●枚の中で自分が勝つる可能性があるのはあと何枚という計算も当然する。
それらの補整をした後、自分がどこに座っているか。ボタンだった場合はかなり補整をかける。ポーカーは基本的に後出し有利だ。
さて、出撃準備は整ったものの、場にいくらの賭け金が出ているか、見る必要がある。
つまりポットを数えるのだけど、自分に必要な勝率(fの段階で大まかに見積済)と賭け金と照らし合わせて
行けそうだったらコールするわけだ。
ポットオッズについてはググってくれな。

このうち補整として大きいのはポジション。と付け加えておく。
いかにハンドがよかろうが、コミュニティに何が落ちるか分からんわけだし、
だったら座り位置が有利な時にじっくり検討したいのが人情ではないか。

…のようなことを出来るだけ短時間で検討する。
出来るだけ、と書いたけど「可能な限り」、が一番近いかも知れぬ。

ではなぜ「可能な限り」か。
やはり思考時間を多めに取るに越したことはないからだ。
コールについて書いてきたわけだけど、同じコールでも「やれそうだから」と「やってやんよ」では天地の差が出てくる。
強いハンドだ、ポジションによってはベットすべき場面でもコールすることで取れ高が上がる
みたいなシチュエーションは「時間」を有効活用できるかどうかに左右されると思っている。

●ゲームに参加しているかどうか

ここまで書いたところで「なし」≠「フォールド」ということは改めて強調しておきたい。
フォールドとはゲームから降りること。
「なし」と言うことは

「abcd踏まえた上で受ける必要が無い」

というゲーム参加なのである。

●ポーカーにおける時間とは

トーナメント限定の話になるが、時間が経過することでSB/BB/ANTIが上がっていく。
これらの値はシステムに還元されるものではなく、常に勝者に還元される数字だ。
時間が経過する、ということは勝者に対して利している、ということになると言える。
一方、ポーカーという競技の性質上、勝者以外は皆敗者だ。

当たり前の事を言っていることは自覚している。でもその当たり前が抜けるのがポーカーだ。

なので、「時間」という取り返しのつかない資産の浪費はまったくもってナンセンスだし、そうすべきではない。
勝者以外は敗者、この考え方が非常に重要で、前述した資産は疑いなく勝者に流れる。
開始時のチップは平等に配置されているが時間は不平等なのである。だからボタンが有利なのだ。

時間を十分に使うことの優位性とデメリットについてはここまで話してきた通り。
ポーカーにおいてただゲームに参加するならば「コール」の一言で済むわけだが、そのためには最低でもBB(ショバ代)を支払う必要がある。
せっかくBB(もしくはレイズ額)をお支払いしたにも拘わらず、適切なアクションが行えないと、その費用はまったく払い損だ。
その「コール」を言うが為に資産を無駄遣いしていないか、今一度検討する必要があるのではないか。
チップは取り返すことはできるけど時間は取り返せない。

●そこでごいたの効用に戻る

ごいたは2vs2のペア戦だ。
32枚の駒のうち、自分の8枚以外の駒の予測を組み立てる上でまず考えるべきは相方のハンドだ。
自分のハンドが強ければ相対的に相方のハンドは弱くなるし、逆もまたしかり。
ポーカーもまた同様で、自分のハンドが強ければ相対的に他人のハンドは弱くなる可能性が見えてくるし、
必要勝率はそこから算出するものだ。
これを、これらの見通しを付けるために一生懸命暗算することは言うまでもないが、
その算出の精度を出来るだけ上げるチャンスが生むタイミングが

「なし」であり「コール」

なのだと強調しておきたい。

乱暴な言い方をすれば全体の4分の1のカードが見えているごいたはポーカーより現実的な計算がしやすく、
だからこそ乗るか降りるかについても判断材料が多い。(判断し易いと言っているわけではない。)
当然ゲームに入る前にある程度の見通しを付けることも重要だが、
盤面が変化した上ですべき暗算も大量にある。
その暗算を受けるべき駒がある場面でなんのためらいもなく実行してしまうと、

「なぜ暗算をしているのか」

という話になり、つまり受けられるから暗算しているのだ、という推測が立てられてしまい、
すると受けられる駒に対しての対策が立てられてしまう。

対して時間を有効に使うことができていれば、つまりaでもbでも、なんなら受け駒が潤沢にある場面でもいいわけだが、
よほど駒が偏っていない場合以外は推測にマスクをかけることが可能だ。
これを日本語にすると

「本当のことを言わなくて良いときに言わない。」

と至極真っ当な文章が出てくる。
そうなんだ、当たり前のことをやるだけなんだけど、ゲームにするとなんらかの競走原理が働いてなかなか当たり前を
一本調子でやるのが困難だ。まずは当たり前の様に「言わなくても良いことを言わない」ことからをオススメしたい。
慣れないうちは言わなくて良いとき、と悪いときが判断つかんことが多いと思うけど。

勘違いされると困るのはそんなウソだらけの世界でも「言うべきとき」は確実に存在する。
3香もってたら、4枚駒のうち2枚持っていたら、そういうことは伝えていかないと味方は誤認した受け攻めをする可能性が高い。
ただこれも、いやむしろそういう伝えるべきシチュエーションがあり、かつ強気でいくべき場面でこそ、
大きく溜めを作ってから駒を打つことをオススメしたい。

その積み重ねを効果的に散らしていくことで、「受けられるけど受けない」という演出を自らにかける。
これが時間の有効活用の第一歩だ。

●結論

途中途中で言ってたことで大事な部分を改めて抽出すると本論で言いたいことは

・時間は不平等に与えられた資産である。だから有効活用しよう。

どんなゲームやるときでも時間は有限だ。有限なんだけども、時間がもっとも作用するゲームの一角としてポーカーがある。
時間を有効に使うということは相手の時間を食い潰すということと同義であり、
きちんと活用すれば自分を追い込むこと以上に相手をロープ際に追い込むことが可能だ。
適切に資産を食い潰してでも行うアクションの見返りは大きい。

引くことも攻めることも、スナップコールすることもそうでないときも、全て時間の有効活用だ。
この演出力が確率を超えるポーカーを楽しむための一つのやり方である、と論を結んでおきたい。

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